動物病院開業コラム　開業考 26

動物病院移転開業・リニューアル開業
移転・増改築・リニューアル動物病院のつくり方

移転・増改築・改修案件､プラス思考の移転開業
動物病院開業考　VOL26

建築予算と建築計画	2016年11月11日
計画は予算に縛られ予算は計画に連動します。予算が少なければ計画は小さいものになり予算が大きくなれば計画も大きなものになります。多くのこだわりの実現には少なくない予算が必要になりこだわりが少なければ通常の予算範囲内に納まる可能性も高くなります。適正な予算とは(建物の大きさ＋建物構造＋建築設備選定＋仕上げ材料選定)×〔通常数値1＋(こだわり＋時間＋土地条件＋景気状況) 〕でほぼ決まります。ＡＣプラン動物病院設計で提示する基本構想案段階の概概算見積金額は、提示した金額内で通常の建物（動物病院）が出来ますという指標です。通常の建物とは、(建物の大きさ＋建物構造＋建築設備選定＋仕上げ材料選定)を指しており、(こだわりの掛け方＋時間＋土地条件＋景気状況)の掛け率は含まれていません。土地条件が厳しいものではなく設計時間も通常通り確保できるならばこの二項目は掛け率に加えても予算に影響しません。基本構想案後に話し合い、検討を重ねながら形作られる基本設計や実施設計は基本構想案よりも要望事項や要求事項が高くなる傾向がありますから、基本構想案時点での費用を超えることのほうが多いものです。計画は時間をかけてじっくりと醸成することが良い結果を手に入れられる確立が高まりますが短期決戦方で一気呵成に進めたほうが良い結果を生む場合もあります。移転や増改築、改修案件は思考を深め考えが熟成する時間を掛けることが良い結果に繋がる場合が多く、新規開業やテナント開業の場合は勢い良く設計から施工までを一気に進めたほうが良い結果となるようです。いずれの場合でも計画に参加する人々の間の意志共有を行い、予算範囲を常に確認し良いものへの同じ方向の認識を持ちながら、相互理解と共通認識を育てていくことが大事なことです。
	天神橋バンビの森動物病院設計監理：アークビジョン

動物臨床医学会2016	2016年11月8日
本年も11月18日（金）～20日（日）まで動物臨床医学会2016が大阪国際会議場（グランキューブ大阪）で開かれます。例年と同様、ＡＣプランも同会に展示ブースを出展致します。セミナーの空き時間等にＡＣプランブースに足を運んでいただければ動物病院設計の経験豊富なＡＣプラン所属の一級建築士が新規開業や移転・増改築・改修についての相談にお答え致します。動物病院建築に関する疑問や質問、問い合わせに複数の建築士にて対応可能ですので、獣医師の先生方のご利用をお待ちしております。事前にメール等で御連絡頂ければ、相談時間を確保してお待ちしております。メールアドレス：CYH01774@nifty.ne.jp 　担当：土´田日時：2016年11月18日(金）～20日（日）会場：大阪国際会議場(グランキューブ大阪）　大阪市北区中之島5-3-51 主催：動物臨床医学会・（公財）動物臨床医学研究所
	コリーヌ動物病院設計監理：ジュンメ建築設計事務所

上棟2棟	2016年11月7日
横浜市神奈川区と岐阜県岐阜市に木造軸組構法2階建て動物病院併用住宅が2棟、上棟しました。横浜市の動物病院は延床面積50坪で動物病院面積は22坪、駐車台数2台、岐阜市の動物病院は延床面積60坪で動物病院面積は35坪、駐車台数は13台です。双方とも2017年2月末には竣工予定で、3月末には開業する予定です。横浜の動物病院は40坪の敷地に計画した都市型動物病院です。動物病院としては決して広くはない敷地を可能な限り有効利用し、2台分の駐車スペースと動物病院必要諸室をコンパクトに凝縮した戸建て動物病院になります。動物病院面積22坪は動物病院として十分な面積ではありませんが、22坪の中に待合室、受付、診察室2室、検査処置室、薬スペース、OPE・Ｘ線室、OPE準備室、入院室2室、WC、フード庫、入院準備スペースが入っています。待合室は9席の椅子を配し、受付カウンターでは2人程度の作業が出来ます。小さなスペースを有効に活用した機能的な動物病院になることと思います。岐阜の動物病院は吹き抜け空間の待合室と大屋根に囲われた外待合が前面道路側に面しています。診察室2室、受付、処置室、検査室、薬局、OPE準備室とOPE/X線室、入院準備室に隣接して2つの入院室と隔離室、スタッフ室、院長室、フード庫、外部ドッグランの諸室です。岐阜の中心街から少し離れたロードサイドに計画した動物病院は岐阜市からも羽島市からもアクセスの良い立地です。
	待合室　木造軸組み

臭い感知付き換気扇	2016年11月6日
臭いを感知すると作動する換気扇があれば良いと思っています。ペットのトイレ置場付近に設置し、ペットが排泄した臭気を感知して動き出し、臭いがなくなると止まる機能が付いているとより良いです。一定時間以上換気しても臭いがなくならない場合は警告音を発し臭気元の除去を促す機能も備え付けられているとなおさら良いと思います。警告音と共に光の点滅等で臭気を知らせる機能もつけられると便利かも知れません。光の点滅はペットのトイレ以外の場所に知らせられるような機能であればさらに良いと思います。日本の換気扇製造メーカーの技術者なら製作可能と思います。作っていただければ、ペットを飼う住宅の必需品として需要はあるのではなかろうかと思っております。動物病院の入院室にも導入可能ですので、是非、ご検討をお願い致します。
	ペット家族動物病院設計監理：アトリエテクト

何から手をつければ良いのか？	2016年11月4日
何から手をつければよいのか解らなくて・・・と相談されることがあります。新規開業、移転新築、増改築、改修等々、何処から手をつけてよいのやら検討がつかずに相談を受けることもあります。手をつけ難い事や難儀なことを想像し手をつけようとするから何処から手をつけたらよいのか解らなくなるのです。始められることから始めれば良いのです。手をつけられることからとりあえず手をつければ良いのです。物事は筋道だてて理路整然と進むとは限らず、往々にしてなんだか良くわからないけれども目的は漠然とではあるがぼんやり見えている場合は出来ることから始めるしか手は無いのです。開業も移転も増改築も改修も向かおうと思った場所に現状の立ち位置から進んでいくしか道は無いのですから、まずはできることを見つけて出来ることをやってみるしかないのです。したがって、われわれが動物病院の新規開業や移転新築、増改築、改修等々の相談を受ける場合、何処から手をつけて良いか解らないのですが・・・と相談されることは、十分、的を射た相談依頼と思っておりますので、何から手をつけたら良いのか解らない方はご相談下さい。
	そよかぜ動物病院設計監理：アトリエテクト

トイレ掃除と設計依頼	2016年10月30日
世の中の周辺で流布されていることですから小耳に挟んだこともあると思いますが、トイレ掃除をすると仕事が舞い込むとの話が流布しているようです。設計事務所の場合はトイレ掃除を心掛け実行し続けると設計依頼が舞い込むということになりますが、世の中にそのような法則はないものと思います。しかしながらトイレ掃除をすると設計依頼の電話があり、設計依頼のメールが届き、随分昔に提案していた忘れていたような案件からの相談が来ることが、ただただ偶然とは思いますが・・・あります。おそらくトイレ掃除をしなくてもそのような問い合わせが事務所に来たのかもしれませんが、なぜかしらトイレ掃除をした後に偶然にも良い知らせが届くことは多いのです。どこかで誰かに見られているような八百万の神は存在しているような不思議な感覚を覚えます。トイレ掃除は関係各所に当方の状況を伝心する何かの効用があるのではなかろうかと思えるような偶然が何度かあることを思うと世の中で流布するトイレ掃除の効用も個人的には頷けるところもあると言う事です。何度も繰り返して申し訳ありませんが、ただただ、不思議に思うほかありません。トイレの排水管は排水以上の効能を持ち、トイレを清掃した当方の心理の奥底を情動として排水管を伝って、伝播する能力を秘めているのであろうか・・・という腑に落ちない話ではあります。詰まる所は、トイレ掃除を心掛け実行し続ければ悪いことよりは良い事が訪れる可能性が高くはならないけれども、たまたまトイレ掃除をした後に偶然良いことが起こると記憶に留まり易く、確率は上がるかも知れない程度の話であろうとおもいますが・・・。トイレは汚れているよりはきれいな方が心地良き排泄の開放時間を過ごせますから、良い事です。心地良い排泄の時間と自由を守ることが普段の生活が良い方向に動くことに繋がる気分は理解できるような気がします。何事も詰まるよりは詰まらない状況をつくる事、流れの良い状況をつくる事が良い方向を向いている状況ということなのでしょう。
	東京動物医療センター客用トイレ

打合せキャンセル料	2016年10月29日
新幹線の場合は切符の変更が効きますので、打合せ日程がキャンセルされたからと言って殊更怒りを露わにする必要もありませんが、飛行機の切符の場合、当方の懐事情もありますが、おおよそ割引の安い切符を前もって購入しているので打合せ日の3～4日前に打合せ変更やキャンセルを言い渡されると切符のキャンセル料金が嵩んでしまいます。切符代金の半額程度は移動もせず打合せもせず地元の料理も食せず珍しい土産も買えずに徴収されます。怒りではなく空しい感じだけが残り、継続中の作業にも明らかに支障が出てしまう損傷の代償を誰にぶつけるべきなのかと思いを巡らし、ぶつける相手の所在無さに空しさが倍増し、倍増した空しさが減少するまでのボヤッとした時間を取り返すべく数時間後から作業に勤しむ自分を想像し時間を潰す程度が不満解消の方法になります。飛行機で訪れる場所の打合せ日程の変更は厳禁です。もしも拠所ない事情でどうしても打合せができなくなった場合は地元の美味しい食材と酒をセットにして事務所にお送りいただければ次の打合せ日程調整についても快く考えても良いのではなかろうかと心の奥深く小声で自答しています。
	高橋動物病院設計監理：アークビジョン

移転・増改築・改修案件（3）	2016年10月28日
構想案第一案は夢の体積を確認する作業と捉えれば、次のステップに進みやすくなります。大きな夢は現実に落とし込むと想定以上の体積を擁しています。おそらく、夢を実現するためには現状の許容量を1.5～2倍程度の容量にしなければなりません。入れ物に入りきらない夢を削ぎ落とし、入れ物のほうも可能な限り容量を増やし、それでも入りきらない夢を断腸の思いで切り取る作業が基本構想案平面図を絞り込んでいく過程です。要望事項に階層付けを行い、実現順位の低いものは切り捨て、将来増設や取り付けが可能なものは将来の増設や取り付けに廻し、必要不可欠なものとあったほうが良いものは峻別し、全体面積を縮小し、計画をシンプルにし、建物をスリムにして全体予算を詰めていく作業は決して楽しく心踊る作業ではありませんが、夢を現実に落とし込むためには少なくとも一度は通らなければならない道です。移転・増改築・改修へ進むための基本構想案第一案は夢の大きさの確認です。現状、自らが持ち得る最大容量の容器に入りきれば構想案は順調に進展しますが、容器に入りきらなければ夢の削ぎ落としと容器の柔軟性を高める作業を睨みながら、ゆっくりと歩を進めていく寛容な気持ちも持たなければ前進しないものです。
	新潟市の動物病院設計監理：村田建築研究所

移転・増改築・改修案件（2）	2016年10月28日
物事諸事すべて360度全方向を視野に入れて解決方法を探るのは間々ならないものです。大まかな想定方向を決めて作業を進めながら、作業深度に準じて要望事項の優先順位や階層化を行い、取捨選択を繰り返しながら鈍行列車のごとく各駅に停車し確認を繰り返し進まざるを得ない場合が多く、一つ一つかくかく云々と当りをつけ手探りしていかないとやりたい方向の検討が付き難く進展を見ないものです。基本構想案とて同様で移転･増改築･改修を考える先生方の進みたい方向と進むべき方向は一致しているわけではなく360度全方向に限りない視界が開けている状況では、構想案を提出したところで先生方にとっては“悪くは無いけれども何か不満が残るな”程度の感想となります。移転や増改築、改修計画では、要望される必要諸室を入れ込むと面積が嵩み予算が想定を超えることや実現したいことや使いたい材料を組み込むと予算不足になる事例に事欠きません。誰にとっても夢は大きく、大きな夢を実現するために乗り越えなければならない壁も高く厚いのです。夢を小さくすることは出来ますが小さくすることでモチベーションが下がってしまっては推進力を失いますから大きな夢を実現する可能性の高い場所や方法を模索しなければなりません。基本構想案の第一案は心に描いている『大きな夢』を実現するのに必要な体積の算定です。一方、受け皿になる容器の容量は現実では資金で決まります。現状持ち得る最大容量の容器でも大きな夢が入りきらないことのほうが現実には起こり得る確率が高いことはほとんどの先生方は理解しているのですが、具体的な構想案と概概算見積もり案を目の前に出されるまでは夢の実現の可能性を念じ、自らの容器に夢が納まることを信じたいと思っています。
	帯広市の動物病院設計監理：アトリエテクト

移転・増改築・改修案件（1）	2016年10月28日
基本構想案の作製に当たってはヒアリングと現地調査を行うことが最低条件です。計画予定地に赴き計画地を確認しクライアントの先生方から必要諸室と要望を伺い、諸事、事務所に持ち帰ってから基本構想案提出までは戸建ての場合3～4週間、テナントは2週間程度を要します。新規開業では上記の流れで構想案平面図の作成に大きな問題はないのですが、移転や増改築、改修提案の場合は基本構想平面図作成中に様々な疑問や課題が湧き出て対処の方法に悩みます。移転や増改築、改修案件は構想案を提出してから複数回の遣り取りを交わさないと計画の方向性が掴み難く、複数回の訂正提案を繰り返し、クライアントの要望を掘り下げないと計画の方向性が見えない場合が多いと感じています。移転や増改築、改修案件では既存動物病院が様々な要因から機能しなくなっている現状を紐解くところに出発点があります。そしていまひとつは移転や増改築、改修を機に動物病院の診療体制やサービスを抜本的に刷新したい部分も見え隠れします。現状の体制の良質な部分の維持と現状刷新の立ち位置が微妙に絡まった状況で計画が始動し、移転の場合では新たな動物病院をつくるのならば積年の理想や希望の実現も当然のように要望に組み入れられます。しかし初回打合せの段階では、要望のすべてが並列状態で階層化されておらず同時進行のまま基本構想案の作製に入ります。
	帯広市の動物病院設計監理：アトリエテクト

床立ち上げシート見切り	2016年10月26日
動物病院床には長尺塩ビシートを多用します。床と壁の仕上げ材は床シートを壁に立ち上げて納めます。通常は床から300mm程度の高さまで床シートを立ち上げ、床シート上部壁には壁仕上げ材を張ります。入院室や大型犬室等の床立ち上がりは状況に応じて900㎜～2000㎜まで立ち上げメンテナンス性能を上げます。見切り材は材料の異なる仕上げ材を見切るために使用しますが、動物病院の床立ち上げと壁の見切り材は犬や猫の爪が掛かり難い見切り材に爪が引っ掛からない形状の見切り材の使用が好ましいと考えていますので、床仕上げ材の長尺塩ビシートと壁仕上げ材の見切り部分に使用する見切り材には丸みを帯びた形状のビニル見切りやアルミ製の見切りを使用しています。動物病院内で壁に立ち上がるペットや爪とぎをするペットは近年では珍しいと思いますが、もしも、そのような状況になった時にも可能な限り安全で怪我を予防できるディテールになっていることが安心を生みます。床立ち上げシート見切りには様々な形状のものが市販されていますが、安全とメンテナンス性能を考えながら見切り材を選定しておくことも大事なことと思います。
	床立ち上げ見切り材

天井と壁の見切り（2）	2016年10月25日
レントゲン室や入院室はＸ線や騒音を遮蔽する目的を担っていますので、天井と壁の接点を目透シにすると機能を損ないますから、コ型見切りと呼ばれる天井と壁の接点に隙間が出ないように断面がコの字型をした見切り材を使用します。Ｘ線漏れや音漏れに対処するディテール＋仕上げ材料をしっかりと留め付ける機能もあるコ型見切りは見た目はシャープではありませんが重宝する見切り材です。また、大きな金額の違いではありませんが、リーズナブルな建築コストを求められる場合はクライアントゾーンを除く動物病院ワークゾーンにはコ型見切りを多用する場合もあります。動物病院は各部屋の機能が異なります。静かな環境や音が響かない環境、毛の纏わりつかない表面仕上げやメンテナンス性能重視の場所、Ｘ線や音の漏洩を防ぐ必要等々、部屋の機能に準じた仕上げ材の選択と機能に準じた納まりを採用することによって開業後の諸問題を減じることが出来ます。天井と壁の納まりなど、普段、気にもしないことと思いますが、開業動物病院等を見る機会があれば少しだけ目を凝らして天井と壁の隅を気にしていただけると色々なことが判り、結構な情報が詰まっています。
	天井見切り材目透シ見切りとコ型見切り材

天井と壁の見切り（1）	2016年10月24日
動物病院の天井仕上げ材は部屋の用途によって切り替えます。静かな環境にしたい待合室や診察室は吸音天井材を使い、見栄えを重視する場合は吹き抜け天井を採用することや木製仕上げ材を使うこともあり、一般的にはビニルクロス等の仕上げを施します。予算を抑えメンテナンス性能を重視する場所にはジプトーンと呼ばれる取り外し可能でリーズナブルな天井仕上げ材を使用します。レントゲンを使用する部屋の天井下地には鉛を張り込みますので、市販の鉛ボードにビニルクロス仕上げをするのが一般的です。入院室等の防音対策を要する天井は室内側より吸音天井材＋遮音天井材＋天井下地材＋吸音材料を敷き込み、各々の材料は目地が互い違いになるようにチドリに張り込みます。天井と壁上部の接点には建築用語での“逃げ”を取り、目透シとします。天井隅を見上げたときに天井と壁の間に10mm程度の一筋の溝が通っているのを目にすることがあると思いますが、その一筋の溝が目透シと呼ばれるディテールです。目透シの有り無しで何が変わるのかと訝しく思う方もおられる事と思いますが、天井目透シは建物の揺れや乾燥収縮や材料の伸び縮みを程好く吸収し、天井と壁接点の状態を保つ役目を担っています。天井と壁の接点に出来る隙間やヒビ、壁仕上材の剥がれを防ぐ効果があります。また、個人的には部屋の印象を和らげ、狭い部屋を広く見せる効果もあると感じています。
	みなみ動物病院診察室：目透シ見切り天井

ハナマル解答動物病院(3)	2016年10月23日
建物には正解はありません。動物病院設計にも正解も模範解答もありません。正しい平面図や誰もが納得する平面図もなく、普遍的な設計回答等は誰も見たことがありませんし誰も見ることは出来ません。設計は与えられた予条件を最大限に活用し、望まれる要望を最大限に生かすにはどのような方向に進めば選択肢が狭まらずに広がっていくかを試行する過程であり、その途中経過が基本構想案や基本設計等の設計図（平面図や断面図等）という形で表現されます。平面図を含めた各図面を協議し、打合せを行い、訂正を重ねて行く行為は予条件を整理し、要望事項を階層化し、必要なものと不要なものとどちらでも良いものを取捨選択する過程でもあります。建物に普遍的な正解は無くても、選定した場所と土地、建物位置と駐車場の位置関係、各室配置と動線処理、要望への成熟度とデザインの方向は話し合いを重ねるほどに輪郭がはっきりしてきて、進むべき道が可視化し、最終的な落としどころも見えてきます。
	ゴンタ動物病院設計監理：コモダアトリエ

ハナマル解答動物病院(2)	2016年10月22日
開業しようとする先生方がテナント探しや土地探しをする場合、取得するテナントや土地の面積に対する確かな情報はありませんから、調達資金の範囲内で借りられるテナント面積や取得できる土地面積を推し量り、選定の基準にすることの方が多いのではないかと思います。動物病院の将来像など新規開業時には考えていないと言われればそれまでですが、漠然とした未来で構わないので自分自身がどんな動物病院にしたいのか程度は考えて置いたほうが良かろうと思います。資金不足で20坪未満のテナント動物病院しか借りられない場合でも、将来30～40坪程度の動物病院で複数名の獣医師と看護士を抱える想定ならば、現在借りようとしている20坪未満のテナント動物病院は5～10年以内には退去し移転動物病院を探す確率は高いので、動物病院として数十年にわたり長持ちする建築仕様は不要で、5～10年程度の使用想定で建築工事費用も低く抑えることが出来ます。土地取得に関しては可能な限り広い土地を確保する方向が将来を担保し易い方向です。何処に無理をするか（資金を投入するか）はそれぞれの先生方の判断と思い入れではありますが、医療機器の補充や追加はいつでも出来ますし、建築については増築できる場所があれば増床は可能です。駐車場の確保や建物の増床は土地がなければ適いませんから、新規開業時の土地取得に関しては少々無理をしてでも広めの土地を確保することが将来の担保に繋がります。
	つじ動物病院　受付香炉

ハナマル解答動物病院(1)	2016年10月21日
いまさらながらの表題ですが、動物病院建築の特徴とは何ぞやと問いかけてみても良い時期ではなかろうかと感じることもあるので行を進めてみたいと思います。動物病院は延床面積では数坪～数百坪を超える建物まであります。10坪未満の動物病院と数百坪を超える建物が同じ土俵にあるとは言い難いのですが動物病院として機能し動物を診療し治療する目的は同じです。 20坪以下の動物病院は地域のホームドクターとしての役割が強く、それ以上の診療に関しては手が届き難い状況です。20～35坪程度の動物病院はホームドクター＋αを目指す動物病院として位置づけられますが客足が伸び診療体制を整えて行く段階で規模が不足する傾向にあります。地域のホームドクター＋αを目指すならば最低でも開業当初より35～45坪程度の面積を確保して将来の拡張に備えられれば安心です。20～35坪の動物病院では5年後、10年後にスペース不足に陥り、増改築や移転を余儀なくされる傾向が強くなります。テナント動物病院では増築は難しく、移転を考えなければなりませんから、将来の動物病院像を見据えた開業場所選びと共に面積を確保することも大事なことです。地域の中核病院までは目指さずとも複数の獣医師を確保しホームドクターとしての診療と専門的な手術を行い入院体制もある程度整えて行く方向を志向すると動物病院面積は60～80坪程度の面積を要します。この規模になると新規開業よりは移転動物病院が多くなり、従業員も十数名を超え、利用するお客様も相当数になります。2次診療を目指す動物病院やＣＴやＭＲＩを導入して専門の診療を目指す中核動物病院は少なくとも100坪以上の動物病院面積が必要になります。
	つじ動物病院設計監理：コモダアトリエ

台風一過	2016年10月20日
小さい頃には、テレビのニュースで“たいふういっか”と聞くと私の脳裏には“台風一家”と言う漢字が文字として鮮明に浮かび上がり、台風はなぜ家族単位で呼ばれるのだろうかと不思議に思っていたものです。渦になった雲の塊は仲良しで一家と呼ぶにふさわしいとも思い、雨や風や雲を家族と捉えて台風と名付ける人は賢い人と思い、雨や風や雲は個の単位での表現をし難いので一家と複数形化らしく呼んでいるのかしらとも思ったりしていました。ニュースで“たいふういっか”の後には“雲一つない青空が広がり”と言うことにある日気付くと“台風一家”が過ぎ去ると雲ひとつ無い青空になる事実を知り、脳内の映像としては黄金色に実った稲穂が広がる田園にイナゴの大群が押し寄せた後の様子を想像していたと記憶しています。“台風”＝“イナゴ”、“一家”＝“大群”、“雲ひとつ無い青空”＝“稲穂の無い田園”そして台風の後の町の状況は食い荒らされた稲穂の状況のような映像です。イナゴの大群映像を思い浮かべるにつけ、“台風一家”ではどうにも解釈に矛盾が生じると思い始め“台風一禍”辺りの漢字が妥当と思い始めました。台風は災いであり、台風の去った後は災いが去った後なので台風のことをわざわざ“たいふういっか”と言うのであろうと。よもや、“たいふういっか”が“台風一過”と書くとは・・・想像出来ませんでした。

	たかはし動物病院設計監理：アークビジョン

圏外ナシ	2016年10月18日
携帯電話には電波が届きにくく圏外と表示される場所があります。ACプランの動物病院設計は日本全国に赴いて設計活動をしており、設計監理業務において物理的圏外はありません。動物病院設計は申し込み頂いた日本の何処にでもヒアリング調査に伺い、基本構想案と概概算見積り提案を行います。今のところ日本において圏外の認識はありません。がしかし、申し込みがない場所に自ら赴き、開業した方が良い、改修が必要、増改築をしなければならない等々と押し付けがましいお節介を焼くこともありません。これからの動物病院は斯斯然然なのでこうすべきであるとの断定や通り一遍の動物病院のつくり方を押し付けることもありません。それぞれの環境に適し、それぞれの場所に馴染み、それぞれの医療体制を考え、それぞれのお客様に近づく動物病院の在り方を獣医師の先生と試行錯誤しながら、獣医師の先生に寄り添って一つ一つの動物病院を提案する姿勢は動物病院設計を始めた頃から変わらずに持ち続けています。電波を発信していただければ、東京から遠く離れた地域でも交通が不便な場所でも山深い場所でも離島でもヒアリング調査と基本構想案の提案を行います。
	シックナー北沢浮遊選鉱場泥鉱濃縮装置

動院では	2016年10月8日
動物病院の4文字で無くても動物病院と判れば良いのです。短い単語で誰もが明快に動物病院と認識できる単語があると個人的には嬉しく思います。動院は如何でしょうか。物院よりは動物病院のイメージに近いように思います。動病や物病では病を誘発しそうで使い難いと思います。獣院は悪くはないのですが現在家族と生活するペットは獣と掛け離れていますし少し古さを醸しだす感じがします。 ○○○○動物病院をチャンネル文字や切抜き文字にすると動物病院のみで4文字を使用しますからお値段が張ります。動物病院が動院で済むと2文字分費用が下がります。たかが2文字ですが2箇所で4文字、3箇所で6文字、4箇所で8文字・・・それ以上はあまり使うこともないのですが。例えば『イトレス動物病院』が『イトレス動院』になるのですが、皆様のご意見を伺いたいところです。

	どうぶつの内科皮膚科クリニック設計監理：アトリエテクト

動物病院開業考・紹介文	2016年10月7日
新しい動物病院は毎年日本のどこかにつくられています。動物病院がない地域に動物病院が出来るのは地域の方々にとって大きな支えになります。動物病院が少ない地域に新たな動物病院が出来ることも地域に住む人にとっては選択肢の幅が広がりますから喜ばしいことです。動物病院が過密な地域に新規開業動物病院ができることも地域住民にとっては更なる選択の幅の広がりを得られますから迷惑なこととは言えません。競合が増えることは動物病院にとって望ましい状況ではありませんし競合を待ち望む先生方も少ないと思います。土地が狭く人の住む地域が限られている日本で動物病院が成り立つ地域は限られており、限られた場所を目指して新規動物病院は開業しようとしますから、現状、競合動物病院が無い地域もいずれは競合することが自明のことです。何れは競争の中に身をおかなければならない状況になりますが、他の動物病院とのお客様の引き合いではなく、信頼を得るためのサービスをどれほど提供できるかが動物病院の継続のために考えなければならないことでしょう。競合と言うと角が立ちますが共生と言えば共に生きて行く方法を模索し協力しあうことが出来ます。共生が成り立てば相乗効果を期待することも不可能ではありません。人間の医療では専門の異なる医師が集合した医療モールが各所にあり、総合的な診療が可能な場を提供して成功している例もあります。人間の医療と動物病院の医療は違いますが、共生するための参考にはなると思います。動物病院開業考は動物病院の設計や施工、建築を通して動物病院の開業や移転、増改築や改修を俯瞰した記録です。獣医療とは直接関係ありませんが、動物病院をつくる上で何かしらの参考になれば、送稿している本人はメデタシメデタシという状況です。
	どうぶつの内科皮膚科クリニック設計監理：アトリエテクト

普通の動物病院つくります	2016年10月6日
こだわりが無くても問題ありません。理想が無くても問題ありません。コンセプトが無くても問題ありません。特別で無くても良いです。特徴が無くても良いです。個性的で無くても良いです。動物病院の規模にも、計画場所にも、予算の高低にもこだわりません。提示されたテナントや土地に、要望される諸室を、機能的に適正な予算で構想する基本構想案と無料見積りを提出すること、普通の動物病院の提案をすることもACプランの業務範囲です。普通の動物病院も普通に設計します。
	ボス動物病院設計監理：村田三雄建築研究所

トイレスはちょっと・・・	2016年10月5日
検索エンジンで当事務所を検索される方には大変感謝しておりますが、検索ワードに『イトレス』の打ち間違いとは思いますが『トイレス』あるいは『トイレス＆ＡＣＤ』にて検索する方がいらっしゃいます。トイレの複数形がトイレスではありませんが、トイレスという文字を眺めていると複雑な気持ちになります。ちなみに『トイレス』では当事務所のホームページは検索できませんが『トイレス＆ＡＣＤ』でも当ホームページの検索は可能です。トイレを専門に設計する一級建築士事務所『トイレス』ならば、非常に的を射たネーミングでもあろうかと思いますが、残念ながら当事務所は動物病院設計に長けておりその他住宅や学校、別荘や保養施設等々を設計する事務所です。もちろん、どの建物にもトイレはなくてはならない場所ですから建物の設計に漏れなくトイレの設計は付いてきます。『イトレス＆ＡＣＤ』は『イトレスアンドアーセーデー』と読みます。イトレスは『イ、トレス』と読みスペイン語の『ｙ tres』から引用しており日本語に訳すと『＋3』です。『ＡＣＤ』は『ANIMAL CLINIC DESIGN』と思っていただいても差し支えありませんが、事務所設立者の頭文字を並べフランス語読みしたものです。『イトレス＆ＡＣＤ』でも『トイレス＆ＡＣＤ』でも検索してもらえればありがたいことに違いはありませんが、可能ならば『イトレス＆ＡＣＤ』で検索して頂きたいと思っております。
	とふろう動物病院

10月以降	2016年10月4日
例年の傾向と同じならば、10月以降は動物病院新規開業の依頼が増加する時期となります。4月～9月までは何の音沙汰もなかったものが10月に入ると新規開業の相談・依頼が多くなります。 4月初旬開業を目論むとテナント工事は通常1ヶ月から1.5ヶ月程度の工事期間を要しますのでテナント工事着工は最悪でも2月中旬辺りが限界です。2月中旬に工事着工の場合は1月下旬には設計図書が揃い工事業者に見積もりを出さなければなりません。工事業者に提出する設計図書作製には1ヶ月程度を要しますから前年の12月末までには設計契約を完了し設計に入る体制が整っていることが条件になります。設計契約に至るまでの現地調査・ヒアリングから基本構想案提出までは2週間を要します。基本構想提出から設計監理契約までも2週間程度を要しますから最初の相談や基本構想案依頼から設計契約に至るまでは1ヶ月を要します。3月開業を目論むと相談や基本構想案依頼の想定時期は11月下旬がぎりぎりの線となります。物事の進みは机上の計画通りに進むことは稀です。各々の仕事の引継ぎや他の仕事との絡み等が計画を遅らせる方向に動くことも想定すると上記の工程に1ヶ月程度の猶予を考えなければなりません。すると3月開業の目論見の場合は10月下旬の動き出しがぎりぎりの線ということになります。 10月に入ると動物病院新規開業の相談や依頼が増加しますが、開業を目論んでいる先生方も悩みながらも正しい判断をしているものと思います。
	こいずみ動物病院設計監理：アークビジョン

雨ニモ負ケズ	2016年10月2日
雨ニモマケズ風ニモマケズ雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ丈夫ナカラダヲモチ慾ハナク決シテ瞋ラズイツモシヅカニワラッテヰル一日ニ玄米四合ト味噌ト少シノ野菜ヲタベアラユルコトヲジブンヲカンジョウニ入レズニヨクミキキシワカリソシテワスレズ野原ノ松ノ林ノ蔭ノ小サナ萓ブキノ小屋ニヰテ東ニ病気ノコドモアレバ行ッテ看病シテヤリ西ニツカレタ母アレバ行ッテソノ稲ノ朿ヲ負ヒ南ニ死ニサウナ人アレバ行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ北ニケンクヮヤソショウガアレバツマラナイカラヤメロトイヒヒドリノトキハナミダヲナガシサムサノナツハオロオロアルキミンナニデクノボートヨバレホメラレモセズクニモサレズサウイフモノニワタシハナリタイ
	宮沢賢治作

GOOGLEBOT 御光臨の儀	2016年10月1日
ホームページのアドレスが変わりました。アドレスが変わると検索エンジンからホームページを訪れる人は入り口がなくなります。入り口がないホームページには誰も訪れませんから開店休業状況となります。長らく開店休業状況が続くのは精神的に堪えますから少しでも早く開店休業状態を解消したいと焦ります。焦ったところで検索エンジンに掲載されなければインターネット上では存在が確認され難いのが実情ですから、末端でも良いので検索エンジンに引っ掛かって欲しいともがきます。しかし、検索エンジンの末端に引っ掛かったとしてもレアな方には認識される可能性はありますがほとんどの人にとっては存在しないに等しい状況に変わりはありません。然るに検索エンジンに載るからには上位表示を目指すことになります。ともあれ、あれやこれや考えていても検索エンジンに載らなければ何事も始まらないので、一刻も早くグーグルの検索ロボットがアドレス変更したホームページをスクロールしてくれなければなりません。神様のご光臨を願うような雨乞いのような心持に近い心境です。建物をつくる際には土地の精霊を鎮めるために地鎮祭を行います。とこしずめの儀とも言いますが、天にまします神様（日本の神様です）を計画敷地にお呼びして土地の地霊やら八百万の精霊やらを偉い神様に宥めてもらい今後建物普請中及び建物が建った後もこの辺りで悪さをしないで戴き足しとお願いしてもらい、精霊たちが良し良し偉い神様の仰ることであればこの土地からは退散し居場所を代えようかと土地から出て行ったところで偉い神様を天にお返しする慣わしです。この慣わしを代行できるのは神主様に限られていますから地鎮祭の折には神主様に諸事を託します。グーグルの検索ロボットも神の光臨に近いもののような気がしないでもないので、今後神主さんたちはグーグルの検索エンジンの光臨に力添えが出来る立場にあるのではなかろうかと思います。神主さんにＨＰとこしずめの儀を依頼すると、神主さんがパソコンをおもむろに開き依頼されたＨＰをパソコン上に表示しグーグルの検索ロボットがＨＰを訪れ検索エンジンの上位に表示されることを祈願する上昇祈願もありうるのではなかろうかと思っております。

	事務所グッズ

ホームページアドレス変更	2016年9月30日
ホームページを設置しているサーバーのサービスが停止となり2016年9月29日よりイトレス＆ＡＣＤのホームページアドレスが変わりました。新しいホームページアドレスは　http://itres.life.coocan.jp/　となります。旧ホームページは設計事務所開設後まもなく作りましたから、17年前に産声を上げたことになります。当初はページ数が4～5枚程度の設計事務所紹介の簡素な内容でしたが、17年マイナーチェンジを繰り返すと、それなりに重量感のあるホームページになるものです。アドレスは変わりましたが旧アドレスのホームページ内容を引き継いでいます。動物病院開業考は今後も不定期ではありますが継続し、新たな動物病院が完成した折には動物病院ギャラリーでの建物紹介も継続していきます。改修や増改築、改装物件も逐次掲載予定でおります。戸建てやテナントに関わらず新規開業動物病院の設計、改修、増改築、プチ改修の相談及び基本構想案と概算見積もり提案も行っていますので、お気軽にご利用いただければ幸いです。メール相談や電話相談にも対応しております。今後とも、宜しくお願い致します。
	OKANUMA NANASEI 作

プラス思考移転（2）	2016年9月29日
現動物病院に車で通われるお客様は1～2km程度の移動ならば引き続き移転先の動物病院に通うのに大きな支障はありません。現在歩いて通われているお客様がいる場合は、歩きのお客様の意見を聞き通院手段の確保を含めた話し合いを持ち、有効な手段を考えていくことです。動物病院の先生方にお客様の通院手段を伺うと動物病院に来られるお客様の9割以上は車での移動と答えられます。現動物病院に通われているお客様の9割以上は移転先が1～2kmの範囲内で車の通行に支障はない場所であれば引き続き通ってくれます。移転先の選定では既存顧客の確保も大事なことですが、新規のお客様の開拓も率先して考えるべきことと感じています。出入し易い駐車場、広い待合室、清潔なＷＣ、診察スペースの増加、待時間の短縮等々、移転動物病院はお客様の要望を実現する場でもあり、お客様の希望や要望を実現できれば、来院する動物病院選択のモチベーションも上がります。移転を負荷の大きい面倒な事と捉えずに新たな動物病院の出発点としてプラス方向で考えていくと、楽しく明るくお客様が集まる動物病院に近づいていくでしょう。
	たなか動物病院

プラス思考移転（1）	2016年9月29日
移転について、思う事を書きます。開業後数年を経て手狭になった動物病院、年毎に客足も伸び待合室は満席過密で待合外や車の中で診察を待つ状況、駐車場不足、職員増加によるスペース不足で診療の負担になる等々移転を考える要因が複雑になる前に、具体的な移転方法の検討に入るのが賢明なのですが、人間は面倒なことは後に回し往々にして賢明ではありませんから、状況が逼迫しなければ初動に至りません。普段は冷静な判断を旨とする方も時間的、精神的、状況的に逼迫した状況に置かれると誤った判断を下す可能性が高まります。誤ってはいけない場面で誤った判断を下してしまうと引き返す労力は倍増します。間違いの起き難い状況で思考判断に余裕を持って検討できれば選定の確度は高まり未来が開けやすい状況になります。動物病院移転を検討するのに早過ぎる事はありません。3年程度で移転を想定するならば、移転土地や移転テナントの検討を既に始める時で、全体の資金バランスも考え始める時期です。移転場所は簡単には見つかりませんし、資金繰りにも時間を要します。動物病院移転では、移転条件が絞られ限定される傾向が強いので候補になる土地やテナントを見つけるまでには一年以上を要します。早い動き出しは利が多く良い結果を得る確率も高くなります。移転場所の選定条件として歩いて5分以内程度の場所、現動物病院から500m以内辺りを目論み、近ければ近いほど移転候補地として良好と考える先生もおられますが、動物病院にとって移転は一大事業ですから建物や土地に投資すると同時に、新たな顧客開拓も視野に入れながら場所の選定を考えるべきでしょう。今現在のお客様が負担にならずに通院でき、競合動物病院が手薄で新規のお客様を誘導し易い場所や通り、駐車場の確保が容易な場所の選定を焦らずにじっくりと時間をかけながら探す覚悟が肝要です。

	たなか動物病院

ドブヅケの話	2016年9月28日
ドブヅケは溶融亜鉛メッキの呼称です。以下、溶融亜鉛メッキの要約を引用します。『溶融亜鉛めっきは、高温で溶かした亜鉛に鋼材を浸し、表面に亜鉛皮膜を形成する技術です。亜鉛めっき加工を施した鋼材は、錆びや腐食を発生しません。塗装や電気めっきなどとは異なり、亜鉛と鉄から形成される「合金層」により、亜鉛と鉄が強く金属結合しているため、長い年月を経てもめっきは剥がれることがありません。』外部に鉄を用いる場合、鉄をそのまま使用すると年月を経るに従い鉄の表面に赤錆が発生し赤錆は次第に鉄内部を侵食し鉄の強度を損なってしまいます。鉄の強度を保つために一般的には鉄表面に錆び止め塗料を塗りさらにその上に塗装を施します。通常、塗装に使用される塗装材料はオイルペイントといわれる合成樹脂調合塗料です。設計記号としては OPとかSOPと図面に記されています。通常の塗装は数年毎に塗り替えるのが基本です。鉄の強度を長く保持するためには数年に1度は塗り替え続けることが塗装の基本事項です。塗り替える度に色を変えることも同じ色を塗ることも出来ますから、DIYが趣味の方にはオイルペイントは向いていると思います。そんなの面倒くさいと思う方には塗り替え手間が少ない塗装を提供しなければならず、オイルペイントよりも塗膜が強靭で付着性に優れた耐候性が高い塗料もありますが、オイルペイントよりも塗り替え回数は減りますが、施工コストは高くなり、いずれ塗り替えは必須です。将来の塗り替え等はとてもとても出来そうに無いと仰る方には所謂ドブヅケをお勧めしています。ドブヅケされた鉄は建築当初、ギンギラギンの水銀のような光沢を放ちあまり品の良い感じはしません。時間の経過と共にギラギラの銀色が醒め灰色に変わりさらに月日が経過すると数色の燻し銀のような灰色の斑模様になります。個人的には好みのテクスチャーなのですが抵抗を感じる方もいますので、使用の際にはヨクヨク説明を繰り返す必要があります。
	屋外階段溶融亜鉛めっき処理

動物病院開業考26	2016年9月27日
9月23日（金）～25日（日）、ホテルニューオータニで開催されたJVBP2016にＡＣプランメンバーとして参加させて頂きました。ＡＣプランブースまで動物病院の新規開業や移転・改修・増築の相談に来ていただいた先生方、お忙しい中、足を運んでいただきありがとうございました。また、ＡＣプランにて設計監理を担当させていただいた多くの開業獣医師の先生方にも久しぶりにお会いでき、動物病院の近況をお聞きし各々の速度で着実に地域に浸透している様子も伺う事ができ大変嬉しくまた、今後の動物病院設計に参考になる数多くのご意見を頂いたことに感謝いたします。ＡＣプランの動物病院設計は日本中の獣医師の先生方から依頼を頂き、北海道から沖縄に至るまでの地域で設計監理を行い、動物病院を建築しています。動物病院も今後は多様化する兆しがあります。専門病院やサービスの拡充、診療体制の見直しや他業務との提携等、様々な試行が繰り返され裾野は広がっていき、模索の時期は続くと思います。動物病院のマイナーチェンジに準じて動物病院設計も変化していきます。絶え間なく変化しながらも総体としての動物病院機能は良いものは維持され悪いものは淘汰され平衡状態を保ちながらも変わっていきます。変化を受け入れながら柔軟な発想で設計する姿勢は今後も変わらず持続していきたいと考えております。
	明石海峡大橋

掲載写真は動物病院設計ＡＣプランで設計監理した動物病院の写真です。

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